研究概要 |
ヒト明細胞腺癌株において, m-TORの発現はeverolimus(ラパマイシンの誘導体)によって処理を行っても,行わなくても差がないことが明らかとなった.しかしながら,リン酸化された状態であるphosphorylated-mTORは, everolimusによって著しく抑制されると判明した.また, m-TOR関連因子であるhosphorylated-4E-BP1, HIF-1α, VEGFなども発現量が抑えられた.一方で, HIF-1αの分解系に関わってユビキチン化を促すとされるVHLは, everolimus投与によって発現が増すことが証明された.これに連動して,アポトーシスのkey分子であるcleaved-caspase3も亢進する. m-TORの阻害はp-mTORの直接的な抑制のみでなく,腫瘍のアポトーシスの促進に繋がることが示唆された.動物実験での応用においては,ヒト明細胞腺癌株RMG-1を移植されたマウスにeverolimusを経口的に投与し,有意に腫瘍の縮小が得られた.このことは臨床実地への道標となった.
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