研究課題
基盤研究(C)
アルブミンは酸化還元状態から「還元型アルブミン」と「酸化型アルブミン」に分類され、抗酸化作用のない酸化型アルブミンの増加は肝発がんに関与すると考えられる。本研究の目的は、1)肝がんの発症母地である肝硬変におけるアルブミンの酸化還元状態、および2)臨床応用が可能な酸化アルブミンの還元法を開発することである。1) 79名の慢性肝疾患患者を対象に血中酸化アルブミンを測定したところ、Child-Pugh分類の進行にともない酸化アルブミンの割合が上昇した(慢性肝炎28.3±1.1%, Child-Pugh A 33.5±1.2%, Child-Pugh B and C 37.8±1.3%)。また、酸化アルブミンはMELD(model for end-stage liver disease) scoreとの間に有意な正の相関を認めた(R^2=0.336, P<0.001)。2)抗酸化剤(システイン)を含有するグリチルリチン酸製剤を酸化アルブミンに添加することにより、有意に還元型アルブミンが増加した(27.7±0.18% vs. 78.7±0.36%; P<0.01)。また、経時的な検討では、グリチルリチン酸製剤添加15分後に還元型アルブミンは有意に増加した。本研究により、慢性肝疾患の病期進展にともない酸化型アルブミンが増加することが明らかとなった。また、我々は、グリチルリチン酸製剤による酸化型アルブミンの還元法を開発した。
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