研究課題
基盤研究(C)
我々は喘息死患者、軽症喘息、非喫煙者の摘出肺を用いて末梢気道のCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞を含むリンパ球、好酸球、好中球、好塩基球の検討を病理学的に行った。昭和48年以降に久留米大学病院及びその関連病院で病理解剖を行った12人の喘息死患者の肺病理組織を用いた。以下結果である。喘息死患者の年齢は5から79才で平均は44.4±7.4才であった。興味深いことに12名中5名が24時間以内に死亡していた。12名すべての喘息死患者で気道への著明な炎症細胞浸潤がみられ、中枢気道だけでなく末梢気道にも平滑筋の肥大、分泌腺過形成を伴った著明な気道リモデリング、粘液栓による気道の閉塞を認めた。一方、軽症喘息患者及び非喫煙者では気道のリモデリングはほとんど認めなかった。興味深いことに細気管支における著明な気道リモデリング、粘液栓による気道の閉塞といった病理像は重症COPD患者の末梢気道における病理像と極めて類似していた。喘息死患者の気道では非喫煙者に比べ好酸球、リンパ球が有意に著明に増加していた。一方、喘息死患者の肺病変部の好中球はコントロール肺より有意に増えていたが、軽症喘息の肺と比べ有意な増加は認めなかった。喘息死患者の気道では、CD4陽性T細胞は軽症喘息と同等に非喫煙者より増加していた。一方CD8陽性T細胞は軽症喘息と非喫煙者に比べ著明に増加していた。喘息死患者の肺病変部では著明に炎症性サイトカインが発現していた。COPD患者の血清ではキチナーゼが高く、気腫化とキチナーゼは関係していることが示唆された。
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