配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2011年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2009年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究概要 |
ひとりの先天性免疫不全症候群Wiskott-Aldrich症候群患者における初感染から生涯にわたる単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染症について,臨床的に,また,ウイルス学的に解析した.その結果, 1) HSV-1感染症に対する治療薬であるアシクロビル(acyclovir, ACV)に耐性のHSV-1[ウイルス性チミジンリン酸化酵素(vTK)遺伝子の1塩基欠損によりvTK活性欠損株]は潜伏感染すること, 2) vTK陽性ACV感受性HSV-1の再活性化に伴って, vTK欠損ACV耐性HSV-1が再活性化していること, 3)生涯にわたってvTKに同一の変異を有するACV耐性HSV-1による感染症に罹患したこと,等が明らかになった.このことから,動物(マウス)モデルで潜伏感染することができるものの,再活性化できないとされるvTK欠損HSV-1の再活性化は,ヒトにおいてはその親株となるvTK陽性ACV感受性HSV-1の再活性化に伴い引き起こされていることが明らかになった.さらに,本研究では293T細胞に一過性に薬剤感受性試験対象HSV-1の組換えvTK蛋白を,哺乳細胞蛋白発現ベクターをトランスフェクション法で発現させ,その細胞におけるvTK欠損HSV-1に対するACVやその他のvTK関連抗ヘルペスウイルス薬(ガンシクロビル,ブリブジン)の増殖抑制効果を解析することで,迅速に当該HSV-1の薬剤感受性を測定するシステムを開発した.ウイルス分離検査を実施しなくても病変から直接vTK遺伝子が増幅されれば,病変に存在する病原HSV-1の薬剤感受性を測定することが可能となる.本法は,ウイルス分離および薬剤感受性試験成績を得るのに比較的より長い日時を要するVZVの薬剤感受性試験として有用であると考えられる.
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