研究課題
基盤研究(C)
HB-EGFを介したEGF受容体Transactivation機構の関与の有無の検討Catestatinによる細胞遊走へのTransactivation機構が関与の有無を明らかにする目的で、同様に各段階の阻害剤(変換酵素阻害剤OSU8、遊離型HB-EGFに対する中和抗体CRM197、EGFRとHB-EGFの結合を阻害する抗EGFR中和抗体、EGFRキナーゼ活性阻害剤AG1478)を用いてBoyden Chamberによる解析を行ったところ、いずれの阻害剤添加においても細胞の遊走は阻害されなかった。当初の予想に反して、CatestatinによりEGF受容体は活性化されるが、Transactivation機構は関与していないことが明らかとなった。EGF受容体下流のシグナル伝達経路の検討そこで細胞遊走制御に重要な分子としてSmall GTPase、特にRacに注目し解析を行った。Catestatin刺激によるRacの活性化をKinase Assayにより評価したところEGFRの活性化に引き続き30分をピークとした活性化が認められた。cdc42の活性化は認めなかった。またRacの阻害剤添加により細胞遊走が完全に阻害された。下流のシグナルであるRho Kinaseも同様にRho阻害剤、その下流のRockもまた、Rock阻害剤添加により細胞遊走は完全に阻害され、遊走のシグナルはSmall GTPaseにより制御されていることが示唆された。最後にこれらSmall GTPaseの上流で活性を制御していると考えられるPI-3Kの解析を行った。PI-3Kの阻害剤添加により細胞遊走は完全に阻害された。以上の結果からCatestatinは表皮角化細胞の遊走を促進させ、その遊走機構にはEGF受容体を介した一連のPI3K-Rac-Rhoシグナル経路が中心的な役割を果たしていることが明らかとなった。
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