配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2011年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究概要 |
気分障害の経過中にみられるうつ状態の重症度を評価する目的で開発されたInventory of Depressive Symptomatology-Clinicians version(IDS-C)は,全30項目で構成され,各項目は0, 1, 2, 3の4段階で評価される精神症状評価尺度である。この研究では,観察者によって評価されるIDS-Cの日本語版を作成し,その評価者間信頼性を検証した。公益財団法人神経研究所附属晴和病院に入院中のうつ状態を呈していた患者14名(男8名,女6名,平均年齢55歳)を対象とし,これらの患者に対して,申請者らのグループが翻訳および逆翻訳を行って作成したハミルトンうつ病評価尺度併用のIDS-C構造化面接日本語版を用いて,精神科医2名の同席による評価面接を行った。IDS-Cの30項目のうち,全てのアンカーポイントについての重症度評価の検討が行われたのが27項目であり,残りの3項目は最重度を呈する症例の評価が存在しなかった。評価面接の一致率については,各評価項目の分散分析級内相関係数(ANOVA ICC)が0.85-1.0の範囲にあり,概ね良好な結果が得られた。評価が不一致がみられた例としては, 1)症状の重症度や持続時間についての被験者の回答がアンカーポイントの重症度分類に当てはまらないケース, 2)一つの症状が複数の評価項目の重症度評価で考慮できるケース, 3)抗うつ薬によると考えられる症状の評価,等が挙げられた。本研究の結果から, IDS-C日本語版の評価者間信頼性はおおむね高い一致率が得られた。評価のばらつきが想定される症状項目の取り扱いを十分に検討し,十分な評価トレーニングを行うことにより,本尺度はうつ病患者の重症度を測定する有用な尺度であると考えられた。
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