研究概要 |
膵胆道系の悪性腫瘍は,浸潤傾向が強く,特にリンパ網への浸潤の有無は病期診断や予後に影響する重要な因子である.膵胆道系周囲リンパ網の画像評価に関する報告は少なく、特にMRIでの報告は認めない.今回これらリンパ網の正常MRI解剖の確立を目的として,非造影下3T-MRIの3D脂肪抑制併用T2強調画像を用いて評価を行った.対象は腹部疾患が疑われ,膵胆道系疾患を認めなかった27例である.その結果,膵頭部上部・前面のリンパ網に関しては,上部では全例(100%)で同定が可能であった.膵頭中部、下部では,それぞれ89%, 85%と同定能が低下し、消化管の動きによるアーチファクトが原因と考えられた.肝十二指腸間膜内・膵頭後面のリンパ網は,全例で同定可能で,特に肝十二指腸間膜内では明確に同定された症例が96%と高率であった.今後、本研究で得られた正常像をもとに、膵胆道系疾患のリンパ網への進展に対するMRI診断の有用性を検討する予定である.
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