配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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研究概要 |
本研究では,消化器における腫瘍内浸潤メモリーT細胞発現の臨床的意義について検討した.膵癌,食道癌,胃癌の切除標本を用いて,メモリーT細胞のマーカーとしてCD45RO染色を行い,定量化を行った.メモリーT細胞高発現群と低発現群の2群に分けて検討した結果,メモリーT細胞腫瘍内浸潤の多寡と予後,再発形式,臨床病理学的因子との間に有意な関連を認め,各癌腫におけるメモリーT細胞の臨床的意義が明らかとなった.すなわち,腫瘍局所に浸潤したメモリーT細胞の多いのものほど,術後の予後は良好であり,再発も有意に抑制されていることを示唆するデータが得られた.いくつかの癌腫においては,多変量解析にて,メモリーT細胞の多寡が独立予後因子となることも判明した.また腫瘍局所の免疫活性とも相関した.これらの臨床研究の結果を元に, T細胞Negative SignalであるCTLA-4, PD-1阻害による有意な抗腫瘍効果を確認し,新たな治療標的分子となり得ることを明らかとした.さらに同時阻害による相乗的な抗腫瘍効果についても確認し,臨床上の有用性も示唆された.また,術前抗体投与による再発抑制効果についても新たに確認した.なお,治療中の明らかな有害事象は認めなかった.さらにB7.H3の膵癌における臨床的意義ならびに新たな治療標的分子となり得る可能性についても新たに見出した.以上の結果から, T細胞,特にメモリーT細胞の能動的誘導が,癌治療において重要であることが示唆された.
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