研究課題/領域番号 |
21591791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
縄田 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00463860)
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研究分担者 |
本村 昇 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40332580)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2011年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2009年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 過冷却 / 心臓移植 / 臓器保存 / ケンフェロール / スーパークーラント |
研究概要 |
背景:重症心不全に対する治療として心移植は標準的治療になってきている。現状のプロトコールではドナー心は臓器保存液内で+4℃の冷保存下にレシピエントのもとに搬送される。その許容虚血時間は4時間から6時間と非常に短い。より安全な移植およびドナープールの拡大のためにドナー心の保存時間の延長は心移植において残された課題の一つである。保存時間延長のため過冷却下の臓器保存がこれまで検討されてきたが、現在のところ充分な効果が得られてはいない。そこで、われわれは、新たに過冷却促進効果が報告されたフラボノールの一種であるKaempferol 7-0-β-D-Glucopyranoside(KF7G)を臓器保存液に導入し、過冷却下心保存の効果を検討した。 方法:ラット異所性心移植モデルを用いて、従来の+4℃心保存とKF7Gを用いた-2℃,-5℃過冷却保存の保存効果を比較した。ドナー心を(1)University of Wisconsin (UW)液、+4℃保存(2)UW液+0.01%KF7G.-2℃過冷却保存(3)UW液+0.01%KF7G、-5℃過冷却保存の3群に振り分け18,24,30時間保存した後、レシピエント腹部に移植した。移植15分後の拍動の強さを肉眼的に評価し、また2時間再灌流後の移植心を摘出し、組織学的にアポトーシスを評価した。また、電子顕微鏡での観察もおこなった。 結果:過冷却保存群のドナー心はすべて凍結することなく保存された。移植心の拍動はすべての保存時間で有意に-2℃過冷却保存群が+4℃保存群より良好であった。一方、-5℃保存群では+4℃保存群を上回る効果は見られなかった。TUNEL染色でのアポトーシスの定量化においては有意に-2℃保存群のTUNEL陽性細胞が減少していた。電子顕微鏡による観察では、-2℃過冷却保存群で+4℃保存群に比較してミトコンドリアやサルコメアの形態的保存状態が良好であった。 結語:KF7Gを臓器保存液に導入することで、過冷却下に心臓を保存することが可能であった。また-2℃過冷却保存が従来の+4℃保存より有意に優れた保存効果をもつことが示された。
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