配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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研究概要 |
脳死ドナー体内における臓器機能の低下は以前より指摘されており,これに対して種々の治療法が試みられているものの依然として確立した方法は存在しない.この臓器機能低下の原因としてはカテコラミン過剰分泌ならびに炎症反応の増強が考えられており,本研究においてわれわれは副交感神経系の活性化による制御について検討を行った.(方法)体重2. 8~3. 2kgの日本白色ウサギを2群に群別(VNS群, sham群).麻酔導入後に頭頂部にバーホールを開け, 8Frバルーンカテを挿入.急速拡張により脳死を作成した.呼吸停止,瞳孔散大を確認. VNS群では脳死作成前15分より両側頸部迷走神経刺激を開始(10Hz, 4ms, 1-3V), sham群では電極の装着のみを行った.以後3時間に渡って心機能,血中カテコラミン濃度の推移を観察した.(結果) sham群ではバルーン拡張直後に血圧の急上昇を認めたが(200~250mmHg) VNS群ではこれが有意に抑制されていた.これを裏付けるべく血中カテコラミン濃度を検討したところ, sham群ではエピネフリン・ノルエピネフリンともにバルーン拡張1分後に急上昇を認めた(Epi : 22→1717pg/mL ; Nor : 72→1183pg/mL).一方VNS群ではこれらカテコラミンの急上昇は有意に抑えられていた.脳死作成後1時間毎に測定した心機能(dp/dt最大値,最小値)もsham群では経時的な悪化を認め, 3時間後の観察終了時にはdp/dt max 1804mmHg/s, dp/dt min-1145mmHg/sであったが, VNS群ではdp/dt max 3397mmHg/s, dp/dt min-1762mmHg/sとほぼ脳死作成前値を維持できていた.以上をまとめると,頸部迷走神経刺激により,脳死作成時のカテコラミン過剰流出が抑制され,これにともなうhyperdynamic stateが軽減された.また脳死後も3時間に渡って心機能が維持されることが確認された.本年度はこれらの結果を踏まえ,生化学的に評価を行い,一部はいまだ進行中である.現時点では酸化ストレスの軽減を介した心保護のメカニズムが明らかにされつつあるため,さらなる検討を行うこととしている.
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