研究課題/領域番号 |
21592066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西松 寛明 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60251295)
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研究分担者 |
大庭 成喜 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80361492)
野宮 明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30372379)
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70167609)
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連携研究者 |
鈴木 越 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (40313134)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2011年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2010年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2009年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 勃起不全 / 皮下脂肪由来幹細胞 / 糖尿病ラット / アドレノメジュリン / 皮下脂肪由来 / 幹細胞 |
研究概要 |
【緒言】急速に高齢化社会に構造転換している日本において、男性の生活の質を向上させる取り組みが医学的にも重要である。メタボリック症候群の初期症状として勃起不全(Erectile Dysfunction,以下EDと略す。)が認められ、逆にED男性の90%は糖尿、高血圧、高脂血症、肥満を有しており、陰茎海綿体内での海綿体平滑筋・内皮、神経の異常が全身の心臓血管系異常に先立って現れてくる。EDに対する治療は、現状では実質的に、勃起改善治療薬の処方のみであり、糖尿病、動脈硬化症例での機能回復は限定的であることから有効な再生医療が期待される。 【研究方法と結果】我々はラットから皮下脂肪由来幹細胞; adipose tissue-derived stem cells(ASC)を安定的に誘導することに成功し、研究を行っている。ラット勃起vivoモデルを用いて、勃起状態の定量化(海綿体内圧と動脈圧の測定)を行っている(Nishimatsu Hetal. Peptides2001 ; 22 : 1913-8.)。STZによる1型糖尿病ラットを用いて、5. 0×105個のSVF/MC幹細胞(刺激因子による内皮誘導型; EGM、平滑筋誘導型; EBM)を亀頭部海綿体から類洞静脈洞に注入。(1)勃起機能が幹細胞により改善することを示した。(2)糖尿病によってもたらされる海綿体構造の破綻に対して、ASC投与はこれを改善することを示した。VE-Cadherinやコラーゲンやエラスチン繊維の増生(再生)を認めた。(3)ASCが分泌するparacrine factorとして我々はAdrenomedullin(AM)に以前から注目していたが、ASC培養上清に非常に多く存在することを確認し、AM産生を抑制させるsiRNA投与でASCからの分泌が抑制されることを示した。AMの作用機序は、1.細胞の遊走(マクロファージ)、分化制御、2.血管内皮細胞再生、抗炎症作用、血管新生の調整、3.体液量調節作用、強心作用といった多彩な生理活性を示す。この様なAMの作用が、我々の誘導したASCの海綿体再生能にどの程度関与しているかを検討するためにAMのノックダウンや過剰発現が海綿体構造に与える変化を評価したところ,海綿体再生にAMがparacrine factorとして大きく関与していることを確認した。 【考察】再生医療におけるASCの利点について列挙すると、1)低侵襲で大量・効率的に幹細胞を回収可能(キースライド参照) 2)自家細胞での治療が可能、感染・拒絶リスク回避(安全性) 3) iPS細胞と異なり、発癌の危険性はない4)細胞分泌paracrine factorsの組織修復促進効果が期待可能5) iPS細胞は技術的、倫理的、特許の観点からまだまだハードルが高いなどが考えられる。我々はラットASCが血管再生、海綿体構造再構築、勃起機能改善に有効であることを見出した。ASCの作用機序の更なる解明のために、AM以外の血管新生、神経再生を効率的に促進するサイトカインや細胞老化制御についての研究を今後も進めていきたい。
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