研究課題
基盤研究(C)
【目的】ClC7型Cl-輸送体(Clcn7)は破骨細胞の酸分泌に必須の輸送体として知られ、KOマウスが骨吸収不全により大理石骨病を呈することや常染色体優性骨大理石病II型疾患にClcn7の点変異が認められることが報告されている。最近、この輸送体の細胞膜への移行・安定化を調節する分子としてOsteopetrosis associated transmembrane protein 1(Ostm1)が報告された。しかしながら、Ostm1がClcn7のCl-分泌能を調節するか不明である。そこで、本研究はOstm1以外のClcn7に相互作用し機能的な調節を担う新規分子を検索してその機序を明らかにすることを目的とした。【方法】マウスClcn7のC末をベイトとしてマウスcDNAライブラリーを用いてイーストハイブリッド法(Y2H)法によりに会合するタンパク質について検索した。この分子の破骨細胞における発現、局在についてqPCR法、Western blot法、免疫沈降法及び免疫染色法により検討した。又、パッチクランプ法と蛍光測光法を用い破骨細胞のCl-分泌能を評価し、調節分子の阻害剤の効果についても検討した。【結果と考察】1) Y2H法によりClcn7の細胞内C末に会合する分子としてメバロン酸経路のファーネシル2リン酸合成酵素(Fdps)が挙げられた。2) Fdpsは破骨前駆細胞に発現し、分化に伴いわずかに発現が増加した。又、FdpsとClcn7は会合作用を持ち、破骨細胞において共局在していた。3) Fdps阻害剤のゾレンドロン酸はClcn7によるCl-分泌を濃度依存性に抑制したが、エチドロン酸は抑制しなかった。さらに、RAW264.7細胞においてFdpsのsilencingによってもCl-分泌が低下した。以上の結果より、Fdpsは破骨細胞のClcn7に会合してCl-分泌を活性化することが解った。さらに、Fdps阻害剤の窒素含有ビスフォスフォネートの骨吸収抑制作用としてCl-分泌能の抑制を介した新規の機序が明らかになった。
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