研究概要 |
(社)日本補綴歯科学会では,アカウンタビリティある補綴治療を実施するために,症型分類を策定し,その普及に取り組んできた.この症型分類により,いわゆる「難症例」が判別可能となり,この「難症例」を,学会が認定する補綴専門医が的確に治療すれば国民医療に寄与するところは大きいといえる.さらに,適切なリコールが行われていれば,有床義歯の調整,修理,リライン,再製作等は容易であると考えられる.しかし,こられをチェックする統一された基準は明確ではなく,患者自身が判断するのは不可能に近い. そこで,患者自らが,歯科受診を判断可能となるセルフチェックシートの開発を目的に,現在使用されている検査用紙を分析する研究を立案した. 調査対象は,(社)日本補綴歯科学会役員22名と代議員237名であり,郵送で調査用紙を送付し調査した. 259名の調査対象のうち,回答のあった92名を解析対象とした. 有床義歯検査用紙があると回答したのは29大学中18大学であった.各検査用紙でかなりの相違が見られた.検査に必要な時間については,ほとんど回答がなかった.学会で推奨されている「症型分類」を使用していると回答した大学はなかった. 調査対象は全国29大学を網羅しており,全大学から回答をいただいた.有床義歯検査用紙の使用状況について調査したところ,半数の大学でしか使用されておらず,簡便に使用できるものではなかった.今回の調査では母数が少なく多変量解析を行うことはできなかった.しかし,迅速かつ的確に記入できる使いやすい有床義歯検査用紙を策定することの必要性が示唆された.
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