研究概要 |
咀嚼筋腱・腱膜過形成症(HyTAM)の画像診断基準の確立と病態解明のため, 1) CT画像を用いて,正常ヒト(対照群)およびHyTAM患者(HyTAM群)の咬筋における腱・腱膜の画像解析を行った.次いで2)正常ヒトおよびHyTAM患者における下顎運動と咬合状態ならびに最大随意噛みしめ時の筋活動量解析を行った. 1) CT画像解析結果からヒト咬筋内の腱・腱膜の分類を, I型:咬筋前縁に細い腱が1本, II型:頬骨突起から下顎骨咬筋粗面に至る連続する腱が咬筋前縁に1本, III型:頬骨突起から下顎骨咬筋粗面に至る連続する腱が咬筋に複数存在, IV型その他,の4タイプに分類した.対照群ではI型: 163側, II型: 14側, III型: 19側IV型: 4側であり, HyTAM群ではI型: 0側, II型: 1側, III型: 31側, IV型: 2側であった. 2)下顎運動では最大開口量において, HyTAM群は,対照群に比較して有意に開口量が小さかった.しかし,前方運動量および左右側方運動量において,有意差を認めなかった.さらに最大噛みしめ時の咬合力では, HyTAM群は,対照群に比較して有意に大きかった.側頭筋および咬筋における最大随意噛みしめ時の筋活動量では, HyTAM群は,対照群に比較して有意に大きかった.しかし,側頭筋と咬筋の筋活動量の比では有意差を認めなかった.以上の結果から,咬筋における腱・腱膜のCT画像解析および下顎運動と咬合状態ならびに最大随意噛みしめ時の筋活動量解析は, HyTAMの診断に有用であることが示唆された.
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