研究概要 |
精密分析/設計(PA/PD)方法論に基づき,ソフトウェアを構成する機能とデータのパラダイム(語彙分類)を整備した.サービス需給スキーマに基づく情報システムでは,サービス資源についての品目と実体という概念がアプリケーションを性格づける基礎となる.ある品目に含まれる対応可能な実体の数量(Q値)と特定の実体の対応可能性(B値)を考え,資源のライフサイクルにおいてどのような原因でQ値が変化しどのようにB値が用いられるかをみることによって,資源の種類認識の妥当性を説明した. 組込みシステムでは自律反射スキーマが問題記述の枠組みを与える.バリエーションの大きい主要概念は環境条件(センサ入力と入手操作)およびそれを受けた制御値の設定規則である.PA/PDでは,状態遷移モデルより詳細・精密な制御値決定の論理と計算のパターン化をはかる.制御値の決定規則は積極(B的制御)と消極(安全性確保)の競合下で適用されるので,その対象データを独占するユースケースとして独立に状態決定的に処理できるのではなく,生体における交感神経・副交感神経のアナロジーをスキーマとして規定する.パラダイム分析による対立項は次のとおりである:パルス(エッジ)データとレベルデータをトップレベルとして,同期(周期,タイマ)と非同期,二値と多値,前提条件と動作中発生条件,人手とセンサ,機器と媒体,稼動(運転)と整備(較正)など. また,組込みシステムでは,デバイスの「世界観(準拠する物理量)とアプリケーションのそれが違うことを原因として問題定義構造とプログラム構造の差異が起こるので,それらの変換パターンを用意することができる.情報システムではデバイスを環境ソフトウェア(OSやDB,webサーバなど)に置き換えれば同じことがいえると予想され、今後の研究課題とした.
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