研究概要 |
本研究においては,多関節構造を備えたロボットのための局所柔軟性変化と伸縮異方性を備えた柔軟センサ外装を実現する手法を明らかにすることを目的としており,特に,平成22年度には1)関節駆動構造を備えたロボットシステムへの適用と評価,および2)省配線小型センシングシステムの開発を重点的に行なった.交付申請書においては,22年度は,上記の2項目に加えて,人間密着柔軟環境センサへの適用と評価も行うことになっていたが,開発したプロタイプ外装を装着して動かすのにデータをとりやすいロボットに装着して適用,評価を行っていく方が構成の違いを比較しやすいため,そちらで置き換えることとした. 1),2)に関する具体的な成果としては,まず,1)局所柔軟性と伸縮異方性を備えた柔軟肉質センサ構造を実現する手法として,新たにグリッド型のウレタン小片を,伸縮異方性を備えた導電体ニット構造で連結する,グリッド型肉質センサ外装を開発した.グリッド型とすることにより,局所的な柔軟性の変化を出し易い構成法となっていること,それらの連結に導電性ニットを利用していることで,2次元平面内での伸縮異方性と同時に伸縮している状態でも,接触センシングを行うことが可能になっている点が特徴となっている.グリッド型のウレタン小片は,一体発泡成形したウレタン外装を分割して,それらを導電性ニットで連結する構成法をとることでロボット表面にフィットしたセンサ外装を構成可能である.この新しいセンサ外装を小型ヒューマノイド上腕部に装着し,直接人間と接触を行う状況で,その評価を行い,実現可能性を確認した.また,2)省配線センシングシステムとしては,耐ノイズ性を考慮し,当初計画の4線シリアルではなく,RS485でディジーチエーンの可能な小型センサAD基板の開発を行い,肉質に埋め込んだ分布力センサシステムを実現可能なことを確認した.
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