研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究では、公共データベースに蓄積された大量のウイルスゲノムを計算機を用いて解析することにより、RNA分節の選択的集合を説明し得る塩基対の構造を網羅的に探索することを目的とする。平成22年度は、下記項目に関して研究を行った。1.RNA分節において、塩基が極度に保存されている位置を明らかにする従来研究の成績からパッケージングシグナルは、各RNA分節のから5'末端および3'末端付近の領域に存在することが示唆されている。パンデミック2009インフルエンザウイルス(H1N1)の2285株分の塩基配列をNCBIから取得し、平均情報量を指標に各RNA分節において塩基が極度に保存されている領域を検索した。その結果、ほとんど全てのRNA分節において、3'末端付近の領域に塩基置換が見られた。2.二つのRNA分節で同時に変異する傾向にある塩基対があるか否かを確認する二つのRNA分節で同時に変異する傾向にある塩基対を高速に検索するために、同時エントロピーの比を用いる手法を開発した。同法を用いて、パンデミック2009インフルエンザウイルス(H1N1)のRNA分節間で同時に変異している塩基を探索した。その結果、PB2の95番目とNPの1530番目、PB2の573番目とNPの44番目、PB1の288番目とHAの1715番目、PAの64番目とNPの417番目、PAの64番目とNPの1419番目、NPの327番目とNAの347番目において、ワトソンクリック型塩基対を保持したまま同時に変異していることが判明した。3.RNA分節間の塩基対の連続性あるいは周期性が統計的に有意か否かを判定するPB2の95番目とNPの1530番目、PB1の288番目とHAの1715番目、NPの327番目とNAの347番目においては、連続した前後の塩基配列のアライメントを計算したところ、ワトソンクリック型塩基対が統計的に有意に多く見られること(p<0.03)を確認した。
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Veterinary Microbiology
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