研究概要 |
現在、欧米・日本といった先進国では本格的な高齢化社会を迎え、高齢者の身体的な機能劣化や欠損を補うための治療方法の確立が重要な課題となっている。特に,整形外科領域の骨格系の疾患は、高齢者では寝たきり状態への移行に結びつきやすく、行動制限・ストレスからボケの発症につながり、死に至ることもある。高齢者の骨折,スポーツ外傷,交通事故による外傷,先天性の疾患などの治療を根本的に成功させるためには,移植人工骨内への迅速な血管形成が必須であり,移植人工骨内に予め適切な三次元微細構造の付与を行っておく必要があった.そこで,本研究では,生体内分解性再生骨用材料(リン酸三カルシウム)からなる3次元担体を,内部・外部とも高い精度で直接造形するために,光造形の原理を利用した新たな三次元再生骨用担体の造形手法の開発を行った.光架橋性樹脂とそれに懸濁されたリン酸三カルシウムナノ粒子の光造手法の開発を行い,加熱することで粒子焼結と樹脂の気化消失を試みた.レーザの照射と各層の造形ごとに非造形マテリアルの除去を行うことで,内部空隙構造についても3次元的な造形を実現した.造形精度の計測,造形物の力学的な性質の定量的な評価を行いリン酸三カルシウムによる担体の3次元構造体の造形パラメータを検討した結果,本手法によって作製した再生骨担体の設計・試作が"可能であることがわかった,本研究から,従来の技術で不可能であった担体内部形状の精密造形が可能となったことから,今後,再生骨川担体の最適設計指針の構築に本研究は重要な工学的基盤技術として大きく貢献することが考えられた.
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