研究課題/領域番号 |
21650121
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 正治 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (30304744)
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研究分担者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学研究院, 教授 (90198664)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2009年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ナノ構造体 / DDS |
研究概要 |
腫瘍化に伴う遺伝子レベル、あるいは分子レベルでの変化が解き明かされることによって新しい治療戦略が開発されてきた。特にがん遺伝子産物に関する知見や細胞内シグナル、血管新生、そして転移機構などに関する近年の著しい進展は、従来にないコンセプトに基づく化学的あるいは生物学的に治療法を可能にしている。しかしながら、これら新規薬物の治療効果を最大限に引き出すためには、同時に病変部位への薬物輸送システム(ドラッグデリバリーシステム,DDS)の開発が必要不可欠である。標的細胞への的確な薬物輸送は、副作用の低減と投与量の減少を通じてこれまでの薬物治療に大きな改善をもたらすであろう。 そこで本研究ではタンパク質ベースのナノDDSキャリアの開発を行った。このタンパク質は自己組織化により24量体となり、直径約12nmの球状構造体を構成する。我々はこのナノカプセルの疎水性内孔に膵癌の標準治療薬であるジェムシタビンを内包することに成功した。ジェムシタビン内包ナノカプセルをヒト膵癌細胞(suit-2)とヒト正常膵管上皮細胞に作用させたところ、フリーのジェムシタビンが有効でない低濃度領域においてもヒト膵癌細胞にアポトーシスを誘導した。対照的に正常膵管上皮細胞にはほとんど影響を与えなかった。この結果は、難治性の膵癌の治療に新しいコンセプトを呈示するものであり、今後も引き続き、動物実験においてその治療効果を検討する予定である。
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