研究課題/領域番号 |
21650198
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食生活学
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研究機関 | 女子栄養大学 |
研究代表者 |
平石 さゆり 女子栄養大学, 栄養科学研究所, 助教 (20150659)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 食生活 / 癌 / 概日リズム / 転移 / 栄養学 |
研究概要 |
末梢組織の概日リズムは食事に影響を受けることが知られている。食餌摂取時刻の変化によって概日リズムが乱れることが、癌の転移や進展を悪化させるかを検討した。1.癌転移実験 ICR雄性の野生型マウス、あるいは、概日リズム関わる時計遺伝子の一つであるclockの変異型ICR(Clock)マウスを各々明期に給餌させる群(昼給餌群)と、暗期に給餌させる群(夜給餌群)に分けて飼育繁殖用の飼料を与え、マウスの尾静脈から癌細胞(マウスメラノーマ)を投与した後の肺への転移と血漿中プラスミノーゲン活性化阻害因子(PAI-1)量を調べた。その結果、通常行動しない時刻に摂食させた野生型マウスの昼給餌群は、夜給餌群に比べて肺への転移癌結節数が多かった。また、Clockマウスの夜および昼給餌群は共に野生型マウスの夜給餌群より癌の転移が亢進したが、Clockマウスの夜給餌群と昼給餌群との間にはほとんど差がなかった。血漿中PAI-1濃度も野生型マウスの夜給餌群に比べ昼給餌群およびClockマウスで高値となったが、Clockマウスでは夜給餌群と昼給餌群との間にはほとんど差がなかった。PAI-1の発現には日内変動があるが、食餌時刻の変化によってこの概日リズムが崩れてPAI-1濃度が増加したことが考えられた。また、正常な概日リズムを刻まないClockマウスで癌の転移が亢進した。これらから、通常は行動しない時間帯に摂食させると、概日リズムが乱れ、その結果、癌の転移が亢進することが考えられた。2.発癌実験 ICR雄性マウスにDiethylnitrosamine(20mg/kg)を腹腔内投与して、7週齢から昼夜給餌群と昼給餌群に分けて飼育した。投与後経時的に採血し、血漿中のALT、AST活性を測定し、35週目で解剖して肝、脾臓および胸腺を摘出し、発癌の状態を観察した。その結果、腫瘍性結節の最大径・結節数、および血漿中ALT、AST活性ともに昼夜給餌群と昼給餌群に差はほとんどなかった。以上より、食事時刻の変化は概日リズムを撹乱させ、癌の転移に影響を与える可能性が示唆された。
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