研究概要 |
本研究の成果は、主に次の4点の研究としてまとめられる。 (1) 文字のパラ言語という意味で、書き言葉に注目した。手書き文字を認識できるDSを用いて、小中高等学校で実践して、その評価を行った。その結果、フィードバックがあること、手書き文字が記憶に有効であることが、わかった。また、電子黒板やデジタル教材の実践事例では、電子黒板上のデジタル教材に、手書きで下線を引く、ハイライトするなどのアノテーション機能が、実践的に有効であることが、わかった。 (2) 学習はヒトの脳神経系が担っている。事象関連電位(Event Related Potential, ERPと略称)は、課題実行時の脳の電気的活動を捉えた脳波の平均波形である。反復学習による脳内の変化をERPの変化で推定する試みを行った。その結果、反復学習により特定の電位、例えばP_<300>(またはP3)に相当する電位等の短縮が認められた。 (3) 本研究では,試験の始めや途中で人物画像から発せられる励ましの言葉を挿入することの効果について,紙ベースの実験を実施して検討した.結果,キャラクターの励ましが受験者の試験への継続的な取り組みに効果のあることが示唆された.特に,今風の画風でより効果的な可能性が示唆された. (4) 会話の進行は話し手だけでなく,聞き手も重要な役割を担っている.特に相づちに代表される聞き手反応は,会話を構築する上で重要な働きを持つが,第二言語学習者にとって必ずしも習得が容易な学習項目ではない.本研究では聞き手反応の教授が日本語学習者にどのような効果を持つか日本語不安の観点から,学習者の聞き手反応の使用と学習上の変化を検討した.その結果,聞き手反応の教授を受けた群において,聞き手反応の産出能力の向上が示された.
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