研究課題/領域番号 |
21650234
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
横田 勝 大阪府立大学, 工学研究科, 客員研究員 (10029225)
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研究分担者 |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90167403)
荻 崇 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (30508809)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 金属文化財 / 変質と劣化 / 微生物 / DNA / 金属還元細菌 / Schewanella algae / 銅(Cu) / mineralization |
研究概要 |
金属文化財が微生物により変質・劣化する報告例は無いとされてきた(Orio Ciferri).我々は,長年月土中に埋没していた古代青銅鏡内に形成された非晶質のSiO_2、Cu-Sn-Pb酸化物や結晶質のCu(OH)_2、Cu_2Oなど複雑な化合物からなる腐食・変質層内に青銅鏡の原料の一つである純銅塊が析出している点に注目した.これが微生物の仕業によるものと推察し,金属還元細菌Shewanella algaeによるCu_2Oのmineralizationに関する実験と検討を行った.液体培養液にはエネルギー源(電子供与体)として乳酸ナトリウム、細菌の呼吸のための電子受容体としてクエン酸鉄(III)を採用した。得られた結果を要約すると次のようになる。 (1) S.algaeの誘導期はCu_2Oの増加と共に長くなり、また指数増殖終了に至るまでの期間もCu_2Oの添加量の増加と共に長くなり、Cu_2O無添加では約40h、 1.4mol/m^3では28d、5.6mol/m^3では62dであった。また馴化については、Cu_2Oが1.4mol/m^3の場合、菌の植え継ぎによって28日間から順次短くなり約4回の植え継ぎで10dの一定に達した。 (2) Cu_2OからCuへの還元はS.algaeの指数増殖の終了と共に完了した。 (3) Cu_2OをCuOに変えて条件を同一にした場合にはS.algaeの増殖ならびにCuOの還元は全く確認されなかった。 なお、Cu_2OからCuへの還元変化はXRDによって確認したが、S.algaeのTEMならびにSEMによる定性分析(Mapping)を行った後、直ちに論文発表を予定している。 微生物によるCu化合物またはCuイオンのmineralizationに関する研究報告は今だ報告例は無く,我々の研究が斯界では初めてではないかと判断される.
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