研究概要 |
本研究では,炭酸塩卵殻の酸素・炭素同位体比の測定は,質量分析計の老朽化により信頼できる測定値が得られていないが,今後にゆだねるために炭酸塩卵殻を粉末にした状態で保存している.しかし,それ以外のいくつかの分析することにより,サンプルの処理法に関することを検討した.殻の構造や厚さは,種により特徴が見られた.これにより,一部の種は同定することができる.炭酸塩卵殻の全有機炭素濃度,全窒素濃度,全イオウ濃度及びC/N比については同位体分析用の炭酸塩卵殻の粉末を用い, CNS元素分析計で測定した.また, XRF元素分析のよりいくつかの成分に対して,測定された.主要成分で有効なのは, Na, Mg, Caの成分であった.これらの項目は,個体による差が大きいが,すべての成分を組み合わせることによって,大まかな分布では,種による違いが見られた.したがって,これらの分析から卵殻の種を同定することも可能であり,破片のみサンプリングしても種がある程度同定できることになる.これはモニタリングツールとしての可能性を広げたことになり,今後さらに研究を続けていく価値がある.
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