研究概要 |
温泉施設において,温泉水に生息するレジオネラ属菌をパルサー(PALSAR)法で測定するためには,レジオネラ属菌の回収方法が重要であると考えられる.そこで泉質の異なる14源泉を採取し,Legionella pneumopnila philadelphia-1(Lp01), L.pneumopnila Lp01, L.pneumophila Suzukiの3種類のL.pneumophilaをそれぞれ一定量添加した後,レジオネラ属菌の回収方法である,冷却遠心濃縮法,ろ過濃縮法を用い,その回収率をPALSAR法,培養法およびReal-time PCR法によって評価した.その結果,1)ろ過濃縮法による回収では,ろ紙表面を綿棒で拭う方法に比べ,滅菌水にろ紙をカットおよびカットしないで入れた方法では共に回収率は大きく向上した.2)冷却遠心濃縮法による回収率は,ろ過濃縮法に比べ大きく劣っていた.3)実際の温泉からの検出では,冷却遠心濃縮法でも相応の菌数が検出できていた.このことは,レジオネラ属菌がアメーバあるいは粒子に付着し,沈殿しやすい状況にあるためと推察された.4)3種類のL.pneumophilaにおいてPALSAR法に関しては,ろ過濃縮法および冷却遠心濃縮法で大きな差は認められなかったが,培養法ではLp01が,Real-time PCR法ではL.pneumophila suzukiが,ろ過濃縮法で高い回収率を示した. PALSAR法に対する泉質の影響について検討を行った.その結果,PALSAR法による回収率は培養法にほぼ近似していた.しかし,硫化水素による硫黄の沈殿および炭酸カルシウムの沈殿を含む温泉では,PALSAR法は培養法に比べて低い回収率を示した.このことは,これらの沈殿がPALSAR法のプローブに影響していることが示唆された.
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