研究概要 |
液晶は固体の性質を一部有するので,圧電効果を発現することが期待できる.過去の研究は,固定された2枚の平板間に液晶を充填し,壁面での分子配向角を変えた場合や電場・磁場を印加した場合等,静的な場合に限定されており,流動または大変形を扱った研究は皆無である.本研究では,液晶にせん断流を付加した際に発生する分極値の時間変化を調べる.この研究が成功すれば,如何様にも小さく,如何様な形状にも適合できる歪み計,歪み速度計,さらには微弱な力を計測できる力学センサの開発が可能となる.昨年度の研究結果から,2壁面間に発生する分極値は壁面での分子配向角の差に依存することがわかった.そこで本年度は,円筒回転型の流れ場を対象として,液晶にせん断を付加した場合の分子配向挙動の非定常特性を実験的に調べる. 同心状態にある内径6mm,長さ30mm外筒と,外径5.3mm,長さ30mmの内筒の間隙に5CB液晶を充填して,内筒を一定速度で回転させることによって液晶にせん断流を付加した.外筒は透明ガラス製であり,レーザー光を外部から円筒側面に対して垂直に照射し,内筒面でのその反射光強度を測定することで分子配向の挙動を測定するとともに,偏光顕微鏡で液晶の流動状態を観察した.その結果,内筒を回転させ始めて一定の歪みが液晶に加えられると,液晶分子はせん断面外へ逃げること,またそのような挙動は,その後一定周期で現れることを明らかにした.
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