研究課題
挑戦的萌芽研究
バイオテロの標的国となる先進国や都市部では糖尿病をはじめとする生活習慣病や喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の患者数の激増と、その重症化が社会問題化しているが、このような宿主は感染症において健常人と異なる感染免疫応答を展開する可能性がある。本研究では、我が国において高い罹患率を示す慢性疾患のうち、糖尿病およびアレルギーに絞り、これらの患者がバイオテロ細菌の暴露を受けた場合の危害分析を行った。H21年度に正常マウスに比べ、II型糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)およびアトピーマウスでは、炭疽菌に対する感受性が亢進していることを明らかにした。H22年度はdb/dbの骨髄マクロファージ(BMDM)の炭疽菌芽胞に対する殺菌能について解析した。db/dbマウス由来のBMDMは対照マウスと比べ炭疽菌に対する殺菌能が低下していた。LAMP-1と炭疽菌芽胞の局在性を調べた結果、db/db由来BMDMの殺菌能低下は炭疽菌を取り込んだファゴソームがリソソームと融合できないためと考えられた。WHOによる予測では、500万都市の上空で炭疸菌50kgが散布されると10万人が死亡する。しかし、この予測は全人口が健常者である前提で計算されている。したがって、より正確な予測をするためには基礎疾患を有する人たちのリスクを考慮する必要がある。
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