研究課題/領域番号 |
21651087
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ゲノム情報科学
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
河野 秀俊 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40291918)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2009年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | DNA結合蛋白質 / 特異的認識 / 分子設計 |
研究概要 |
遺伝子の発現は、転写因子などDNA結合タンパク質が特定の塩基配列に結合することによって制御されている。本研究では、計算機による分子設計にもとづき、任意の塩基配列に結合するDNA結合タンパク質を創製し、ゲノム中の特定の場所へタンパク質を誘導する技術基盤を作ることを目指した。 3つの亜鉛フィンガードメインがタンデムに繋がったマウスの転写因子、Zif268の立体構造を鋳型構造として、この2つ目のフィンガーのアミノ酸配列をコンピュータで設計した。野生型では、各フィンガーは29ないし30アミノ酸から構成され、ひとつのフィンガーが3塩基対を認識する。本研究では、2つ目のフィンガーの亜鉛結合、ターン領域などのアミノ酸残基を除いた15部位のアミノ酸残基を設計した。つまり、20の15乗通りのアミノ酸配列を考慮した。この膨大な数の配列の中から、1)フィンガー構造を安定に保つこと2)認識したい塩基配列に対する結合エネルギーが最も低くなること3)結合エネルギーが最も低い塩基配列と2番目に低い塩基配列の間に充分な結合エネルギーの差があること、の3つの条件を満たすアミノ酸配列を探した。2つ目は結合親和性を、3つ目は認識特異性を持たせるための条件である。計算結果は、これら3つの条件をすべて満たすアミノ酸配列は一部の3塩基対に対してのみ存在することを示した。つまり、鋳型構造を満たす条件と特異的に塩基配列を認識する条件がアミノ酸配列の中でカップリングしていることを意味する。3つの条件をすべて満たしたTGG塩基配列に結合するアミノ酸配列を無細胞系で発現、精製し、2次構造及びDNAとの結合能を調べ、想定通りの結果を得ることができた。本結果は,フィンガー型タンパク質では、当初考えていた前後のフィンガーの影響に加えて、鋳型構造自体が特異的に結合できる塩基配列を制限していることを示唆している。
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