平成22年度は、まず、高等学校におけるメンタルヘルスの実態を調査するために、全道の高等学校に対してアンケート調査を行った。その結果、多くの高校でメンタルヘルスの取組みの必要性を認識しているが、十分ではいえないことが明らかになった。 昨年度に行った当事者のフォーカス・グループ・インタビューから得られた、最初の気づきや有効だった支援などをもとにして、対象を高校生に絞った早期支援のための啓発的授業を行うこととし、当事者のワーキンググループとの協働により研究を進めてきた。内容は思春期・青年期の心身の状態とメンタルヘルス、精神疾患の基礎的理解、早い気づきと対処法などである。配布用のテキストを作成し、事例をアニメーションにして、当事者の体験発表も入れた。2つの高校を対象にして行った結果、啓発的授業を行う前と比較して授業を行った後は、精神疾患に対する知識が向上し理解度も改善していることがわかった。授業に対する評価は、教材、当事者の話し、アニメーションなど全ての項目で高い評価を得ることができた。同席した高校教員のフィードバックからも、今後の取組みを推進する価値を見出すことができた。 また、当事者との協働による研究ということで、最後は参加型評価によって本研究の評価を行った。その結果、自分たちが行ってきた活動が有益であったことを調査データを見ながら、何をしてきたのかを振り返ることができた。また、体調がすぐにリカバリーに影響をしないという実感も語られた。以上のことから、更に、検討を重ね、高校以外にも対象を広げ、取組みを推進していく方向性を得ることができた。
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