研究課題/領域番号 |
21654027
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 光赤外線天文学 / 星間物理学 / 赤外線衛星観測 / 重水素 / 多環式芳香族炭化水素 |
研究概要 |
本年度は「あかり」衛星の近赤外線スリット分光データの精度をあげることを目標に、データ整約手法の改善に取り組んだ。特に暗電流の評価を新しい手法で行い、検出器固有のパターンを除去し、分光スペクトル中の偽のフィーチャーの評価を行った。この手法により大幅に分光データの信頼性をあげることができた。この整約法を適用し、「あかり」衛星で観測されたオリオン星雲とM17の近赤外分光観測データを評価した。これらの領域はISOによる観測により、PADのバンドの存在が示唆されている。「あかり」はこれらの領域でPADのバンドは有意に検出されず、少なくともISOの結果より1/10以下の強度であることがわかった。しかし、これらの領域では電離ガスの輝線がPADのバンド位置と重なっており、その除去の精度に結果が依存する。このため、銀河面のスペクトルで、電離ガスからの輝線のみられない領域のデータを探し、PADのバンド強度を評価した。これらのスペクトルにも有意にPADのバンドはみられない。以上のデータを総合して、PADとPAHのバンド強度比は少なくとも3%以下であると結論した。この結果をPAH中の重水素比に焼き直すには、振動子強度比と励起状態を評価する必要がある。しかし少なくとも今回の結果は3.3μmバンドを放射しているバンドキャリア中の重水素が、紫外線観測から予想される3%よりも少なくとも1桁は少ないことを明確に示した。本結果は、3.3μmを放射していない大きなPAH中に重水素が大量に存在する可能性は否定できない。しかし,実験から予想される12-15μmのPADの構造が有意に検出されえていないことから、この可能性も低いと推定される。
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