研究課題
挑戦的萌芽研究
ミューオン電子転換過程は、超対称性シーソー理論などにおいて10^<-14>程度の頻度で観測できる可能性が示唆されている。ミューオンの異常磁気モーメント測定からも、10^<-14>レベルでミューオン電子転換過程が起る可能性が指摘されている。これは、素粒子の標準理論を超えたTeV領域の物理現象であり、発見されれば宇宙・素粒子の研究に大きなインパクトを与える。本研究の目的は、プロダクションターゲット中に生成されるミューオニックアトムから直接放出される電子を測定することによってミューオン・電子過程の探索を行う実験方法の開発を行うことにある。本年度は、J-PARC MLFで行う実験のデザインを具体的に行った。まず、カナダ国TRIUMF研究所と協力して、大立体角新設ビームライン(Hライン)のコンセプトを確立した。本ビームラインは多様な用途に使用する事ができるように設計されており、ミューオンg-2測定実験等、他のミューオン物理とのシナジーが大きい提案とすることができた。また、J-PARC MUSEグループとの共同研究において、プロダクションターゲットとしてシリコンカーバイドを使用する事に思い至った。プロンプトキッカーや検出器のデザインも行い、その結果をJ-PARC実験プロポーザル(P41)として提案した。また、KEK物構研S型課題としても申請を行った。いずれの審査委員会においても、本実験提案の物理的な意義などに対して非常に高い評価を得る事ができた。加速器からのパルス陽子ビームの時間構造に関しても、J-PARC RCS加速器グループと共同で測定を進める事ができた。これまでの測定では、本実験に必要とされるプロトンビーム時間構造の達成は可能であるとの感触を得ている。これに関しては引き続き研究を進める予定である。
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Proceedings of Science : "35^<th> International Conference of High Energy Physics (ICHEP 2010)"
巻: ICHEP2010 ページ: 279-279
http://www-kuno.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~aokim/mlf/mlf.html
http://www-kuno.phys.sci.osaka-u.ac.up/~aokim/mlf/mlf.html