研究課題/領域番号 |
21654061
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体地球惑星物理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤 浩明 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40207519)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2009年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 地磁気 / 海洋ダイナモ / 津波予測 / 重力波 / 海底電磁気観測 / 押し(引き)波 / 粒子運動速度 / 方向探知 / 海底電磁場観測 / 粒子運動 |
研究概要 |
磁場の下で良導体が運動すると、その発電作用により導体内にまず電場が、次いで流れた電流により二次磁場が発生する。この現象をダイナモ作用と呼ぶが、海洋中にもこの作用は現れる。すなわち、海水は電気伝導度3~5S/mの良導体であり、それが地球主磁場中で運動すると海洋の内外に誘導電磁場が作られる。しかし、地磁気は弱い磁場である為、通常はノイズレベル以下の微小な電磁場しか作り出せない。 本研究では、千島列島沖で発生した地震による津波が、海洋のダイナモ効果を介して発生させた電磁場変化を、北西太平洋海盆に設置した海底電位磁力計で捉えることに成功した。電磁場観測は本質的にベクトル観測であるから、津波に伴う電磁場の実測により津波の到来方向が精度良く推定できただけでなく、粒子運動速度も一点だけの観測から推定可能である事が示された。海底圧力計を中心とする従来の津波計で粒子運動を見積もるには多点観測が必要であったことを考えれば、大きな違いである。また、推定した粒子運動速度から波高や到来方向を求めてみると、津波の流体力学的数値シミュレーション結果を非常によく一致する事も明らかとなった。更に、津波電磁場各成分の正負と津波の押し引きとの対応が良い事、短い波長の津波の場合には分散が効く為、津波の流体力学的数値シミュレーションを行う際には浅水長波近似より高次の近似(線形ブシネスク近似等)が必要である等も示す事ができた。 平成22年度は、津波の流体力学的数値シミュレーション結果から予想される海底での電磁場変化を見積もる事に重点をおいた研究を行った。その結果、非一様薄層導体近似を用いれば、周波数領域で津波に伴う海面または海底電磁場の理論計算が可能である事が分かった。これにより、海底で検出した津波電磁場.から津波の持つ力学的性質を決定する逆問題を定式化する道が開けた。 以上の成果は、22年度に開催された二つの学会で口頭発表し、査読付き国際誌の論文一篇にまとめて公表した。
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