研究概要 |
ランタニド(III)キレート錯体Ln-DTPAとLn-EDTAの生成反応のΔH,ΔG,ΔSをヨルゲンセン?川邊式(以下, JK式と略記)で解析し,水和イオンの配位子H_2Oがキレート錯体の(DTPA+H_2O),(EDTA+H_2O)に変更される反応のΔHとΔSには,類似の四組効果が付随し, JK式で表現出来る.しかし,ΔHとΔSの四組効果はΔG=ΔH?TΔSの関係からΔGでは相当程度相殺されることも示し,従来の考え方の誤りを指摘した. REE分配係数の実験的研究として, BaSO_4/水溶液系におけるREE分配係数の温度変化(10-200℃)から,固相REE3+の結合状態変化と分配反応ΔHrとΔSrの四組効果について重要な結果が得られ, Gibbs-Helmholtzの式に留意すれば, JK式で解析可能であることを論じた.さらに,希土類元素鉱物(木村石とランタン石)のREE存在度パターンが示す四組効果は,ほぼ無条件に, JK式で定量的に表現出来ることが判った.希土類元素が主成分である鉱物でこの事実が確認できたのは世界で初めてである. ヨルゲンセン-川邊式の意味を,院生や若い研究者理解してもらう為に,電子媒体でのテキスト3冊(統計力学,電磁気学,量子力学)をまず作成し,これらを公開した.これを礎にして,ヨルゲンセン.川邊式自体と本研究の成果は,「希土類元素の化学と地球化学」のテキストで詳しく論じており,現在もその公開に向けての準備作業を進めている.
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