研究課題/領域番号 |
21655002
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 財団法人豊田理化学研究所 |
研究代表者 |
大野 公一 財団法人豊田理化学研究所, フェロー (60012499)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 非調和ポテンシャル / 分子振動 / 量子動力学 / 量子化学計算 / 励起分子動力学 / 反応動力学 / ポテンシャル表面 / 光化学 |
研究概要 |
非調和ポテンシャルの効率的構築アルゴリズムを、非調和性を高次項まで考慮した分子振動計算に適用するベンチマークとして、ベンゼンC6H6をとりあげ、量子化学計算に基づいて非調和ポテンシャルをテイラー展開の6次項までを考慮して構築し、高精度の非調和分子振動計算が、実用的に行えることを立証した。これにより、高次の非調和項まで考慮した量子動力学法の開発は、平衡点付近においては、十分に可能であることが確認された。 非調和ポテンシャルの広範囲の効率的構築に、古典動力学計算等のために用いられているシェパード内挿法(SI法)の適用を試みたが、この方法は、近似的ポテンシャル面をつなぐアルゴリズムであるため、平衡点や遷移状態の構造から遠くはなれた部分をなめらかにつなぐ目的で利用すると、誤差がサンプリング点の取り方に大きく依存してしまい、初期の目的には適切な結果を与えないことが判明した。合理的なサンプリング点の導入方法を種々検討したが、SI法のアルゴリズムの根本的問題点の克服は非常に困難であることがわかった。 本研究の足掛かりとなった超球面探索法を見直し、できるだけ少量の情報から多次元曲面の重要情報を効率的に得るための一般的なアルゴリズム構築の可能性を検討した。その結果、超曲面に極小を生じさせる下方へのへこみ要因が、遠方まで徐々に減衰しながら広がっているならば、その重なりを通じて、複数のへこみ要因を一方から他方へと自動探索できることがわかった。この結果から、超球面探索法に基づいて、少量の情報から非調和ポテンシャル面を構築できるためには、極小を生じさせるへこみ要因が、徐々に減衰しながら遠くまで及んでいることが重要であることが明らかとなった。 超球面探索法を励起状態のポテンシャル面に適用して、円錐交差などの重要情報を効率的に探率できることを確認し、励起分子の量子動力学への新しいアプローチの可能性を示すことができた。
|