研究課題/領域番号 |
21655013
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
忍久保 洋 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50281100)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ポルフィリン / 安定ラジカル / ビラジカル / 分子軌道計算 / ヘキサベンゾコロネン / パラジウム / インドール / 芳香族性 / 環拡張ポルフィリン / 二光子吸収 |
研究概要 |
ビラジカロイドは閉殻のケクレ構造が書けるにもかかわらず、一重項ビラジカル状態の寄与をもつという特異な電子状態を持っている。しかし、安定なビラジカロイドの単離例は少なく、その性質には未解明な点が多い。安定なビラジカロイドの設計指針が確立できれば、その物性の解明と応用展開につながる。本年度は、ヘキサベンゾコロネンに対してカルボニル基を導入したジオキソヘキサベンゾコロネンを合成し、そのビラジカル性を検討した。ジオキソヘキサベンゾコロネンの前駆体となるジヒドロキシヘキサベンゾコロネンの合成法は知られていない。そこで、まずその合成法を開発した。イリジウム触媒の存在下、ヘキサベンゾコロネンにジボロン反応剤を作用させると、高い位置選択性でジホウ素化体が得られた。次に、過酸化水素水によりボリル基を水酸基へ変換することにより、ジヒドロキシヘキサベンゾコロネンを収率よく合成することに成功した。さらに、酸化剤としてフェニルヨージンビストリフルオロアセタート(PIFA)をジヒドロキシヘキサベンゾコロネンに作用させると、緑色固体が得られた。この物質はESRスペクトルで明確なシグナルを与える一方、^1H NMRスペクトルは非常にブロードであった。温度可変ESRスペクトルを測定し、シグナル強度の温度依存性から、この物質は予期した通り、2つのスピン間に非常に強い反強磁性相互作用をもつ安定一重項ビラジカルであることが明らかになった。 一方、4つのインドールからなるポルフィリン類縁型環状化合物の合成に成功した。この環状インドールは4つのNHをもち、その立体反発により歪んだ構造をしていることを見いだした。この化合物を酸化することにより、2つのNHをもつ平面型化合物が得られることが明らかになった。
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