研究課題/領域番号 |
21655068
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能材料・デバイス
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梶 弘典 京都大学, 化学研究所, 教授 (30263148)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2009年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 超分子 / 固体NMR / ドナー-アクセプター / 太陽電池 |
研究概要 |
有機薄膜太陽電池における光電変換は、光吸収により形成された励起子がドナー-アクセプター(D-A)界面へ拡散し、そこで正孔と電子に分離してドナー層、アクセプター層を介して、それぞれ電極から外部へ取り出される過程を経る。したがって、混合膜中のD-Aの相溶性やD-A界面に関する研究は、非常に重要である。当該年度は、固体NMRにおける化学シフトからの検討を行った。ドナー材料としてrr-P3HTを、アクセプター材料としてC_<60>を用い、これらの混合膜を作製した。C_<60>のみ、rr-P3HT:C_<60>=35:65、50:50、および75:25wt%混合膜に対するNMR測定を行ったところ、144.1ppmに現れるC_<60>共鳴線に対して、35:65wt%混合膜では、144.1ppmの共鳴線に加えて、0.34ppm高磁場シフトした共鳴線が観測された。また、50:50、75:25wt%混合膜では、144.1ppmの共鳴線は消失し、それぞれ0.42, 0.55ppm高磁場シフトした共鳴線のみが観測された。この結果は、35:65wt%混合膜中では一部のC_<60>が、50:50, 75:25wt%混合膜中ではすべてのC_<60>がrr-P3HTと分子レベルで相互作用していることを示している。また、これらの高磁場シフトは、rr-P3HTからC_<60>へ電子が移動している可能性を示唆する。さらに、150℃、30分間熱処理した混合膜に対しても測定を行った結果、すべての混合膜に対して、シフト量は極めて小さくなった。この結果は、熱処理によってrr-P3HTとC_<60>が分子レベルで脱混合していることを明示している。以上、本研究により、固体NMRによりD-A間の分子レベルでの情報が得られることがわかった。今後、この手法で得られた知見と有機太陽電池特性との相関を得ることにより、さらなる特性を有する有機太陽電池開発に役立てたいと考えている。
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