研究課題/領域番号 |
21655072
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能材料・デバイス
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
平本 昌宏 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 教授 (20208854)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 有機薄膜太陽電池 / 共蒸着i層 / 低蒸気圧分子 / 3元蒸着 / 結晶化促進 / 厚膜セル / フラーレン / フタロシアニン / 有機太陽電池 / p-i-n接合 / ナノ構造制御 / フタロシアニンウィスカー / キャリア輸送ハイウェー / TEM観察 / πスタッキング |
研究概要 |
本年度は、第3の分子を共蒸着中に導入することを行い、共蒸着i層を結晶化して直立超格子に近いナノ構造を形成し、短絡光電流を大きく向上することに成功した。 通常は、2種類の有機半導体を共蒸着するのに対し、本研究では第3の、低蒸気圧液体分子も含めて3元共蒸着した。低蒸気圧分子として、拡散ポンプ用真空オイルであるアルキルジフェニルエーテル(ADE)等を導入した。低蒸気圧分子は、他の共蒸着分子と衝突することによって、それらを拡散させ、結晶化を促進する。 メタルフリーフタロシアニン(H_2Pc)とフラーレン(C_<60>)からなる共蒸着膜セルにおいて、短絡光電流(J_<sc>)を2.2から11mA/cm^2に増大することに成功した。XRD,断面SEM観察から、直立超格子に類似の、H_2PcとC_<60>からなる結晶カラム構造が形成され、ホールと電子が別々に輸送されることでJ_<sc>向上に至っていることを確認した。また、本方法で1ミクロンの厚膜を曲線因子の低下なしに作製できることを確認した。有機薄膜太陽電池においては、世界的に100nm程度の膜厚しか作製できず効率向上の障害となっている。照射太陽光すべてを吸収できる1ミクロンもの厚膜セル作製ができることは、有機薄膜太陽電池の効率向上に決定的な意味を持つ。 本方法は、一般性を持ち、C_<60>と鉛フタロシアニン、アルミフタロシアニン、ルブレン等の組み合わせで、最高1万倍に達するJ_<sc>の向上を観測した。 以上のように、低分子系共蒸着膜において、直立超格子類似構造を一般的に形成できるこれまでにない方法を提出できた。
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