研究概要 |
シリコンのブラスト加工を通じて,噴射粒子どうしや,噴射粒子とシリコン基板とが衝突する際に発光することを見いだした.そこで,この現象を解明することでブラスト状態のモニタリングができるのではないかと考えた.肉眼観察結果を踏まえ,発光観察用セル,集光光学系を組み立ててファイバで分光器に導く構造の分光分析システムを利用して,詳細な検討を行った.その結果以下のことを明らかにできた. まずブラスト加工中に確認される発光のスペクトルを計測した.GC砥粒を炭化ケイ素に噴射した場合,GC砥粒およびWA砥粒をシリコンに噴射した場合に発光が認められた.WA砥粒を炭化ケイ素やアルミナに噴射したものでは可視域での発光は観察されなかった.発光スペクトルは工作物と砥粒の組み合せにより異なり,発光には砥粒の破壊に由来するものと工作物の破壊に由来するものがある. また,砥粒の衝突速度は噴射圧と粒径に比例し,砥粒径が大きいほど砥粒は破砕しやすく,砥粒の破砕に由来する発光の強度は噴射圧の2乗に比例しており,また粒径が大きいほど強度は大きい.また,工作物破壊に由来する発光では除去速度と発光強度が比例する.そして,工作物破壊に由来する発光では総除去量と発光量が比例する. これらの結果より,発光強度を計測することでブラスト加工における加工状況をモニタリングできることがわかった.今後モニタリングに適した組成のファイバ材料を選ぶことモニタリング技術として確立できる可能性がある.
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