研究概要 |
本研究では内視鏡による内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dis-section : ESD)を円滑,確実,安全に行うことを可能とする外骨格型マイクロロボットの基盤技術に関する研究を行い,以下の成果を得た.(1)外骨格型マイクロアームの改良,集積化を行った.生体構造に着目し,異なる剛性を有する材料を組み合わせたバイオニックジョイントについて提案し,その作製方法と基礎性能を評価した.比較的剛高い剛性を持つポリマー(SU-8)に微細パターンを施した後,低剛性のポリマー(PDMS)を転写することで,ハイブリッド構造を有するレイヤーを作製し,それを積層することで三次元構造を構築した.関節角度の調整はワイヤー駆動とし,ワイヤーの張力と関節角度の関係を評価した結果,線形性があることを確認した.(2)マイクログリッパの改良,集積化を行った.マイクログリッパをマイクロアームの先端に組み込んで集積化した.マイクログリッパ先端形状を改良し,組織を把持しやすい構造とし,開閉動作を確認した.また,1.3Nの把持力を確認した.(3)機構設計を改良することで,マイクロアームの駆動とグリッパの駆動の干渉を低減した.関節の可動範囲として±55°を達成し,グリッパ開閉時の関節角度変化が1°以下であることを確認した.また,マイクログリッパを有するマイクロアームを内視鏡先端に組み込み,動作することを確認した.(4)医学的知見に基づき,これまでのマイクロアームやマイクログリッパの基本設計の見直しを行った.この知見をもとにマイクロロボットを設計し,試作したものを評価した.
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