研究概要 |
空調,ファン,ブロアなどの商用電源による一定速用途のモータには,起動器を必要とせずに商用電源で直接起動できる誘導電動機が用いられている。誘導電動機に比較して,損失が小さい永久磁石(PM)同期電動機は,その制御に高価なインバータなどの可変周波数電源が必要なため,可変速用途のみに使用され,一定速用途には用いられていない。本研究では,商用電源でPM同期電動機を一定速駆動するための起動器を提案し,従来の誘導電動機駆動システムに比較して,損失を1/2にするシステム開発を行い,地球温暖化防止に貢献することを目的にする。本提案方式をもとに,具体的に3項目について研究を進め、以下の研究成果がそれぞれ得られた。 1.任意電源におけるPM同期電動機トルク制御の理論展開による新たな学術分野の創出 PM同期電動機の起動のためのトルク制御理論を,モータ線電流に基づいた理論展開とすることで,十分な電源電圧が与えられていない場合のPM同期電動機の制御法としての基礎理論を確立した。 2.PM同期電動機の起動制御法の確立 1.で導出した線電流に基づく起動制御法により,PM同期電動機の安定な起動を実験で確認できた。 3.位置センサレス制御による起動制御法の確立 起動制御法において装置の小型化と低コスト化のためにPM同期電動機の位置センサレス制御アルゴリズムを確立し,実験で検証した。定格速度の1/2までのセンサレス制御を実現し,センサレス制御実現への目処が立った。 以上により,PM同期電動機の任意電源駆動に対する基礎理論とPM同期電動機の起動器実用化への基礎技術を確立した。
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