研究課題/領域番号 |
21656080
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩本 敏 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40359667)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2009年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | フォノニック結晶 / 音響光学素子 / 共振器 / 分散関係 / 光弾性効果 / 有限要素法 |
研究概要 |
結晶を伝搬する音波などの弾性波は、散乱現象などを通して電子や光子と相互作用することにより、物質の光・電子物性を変化させる。弾性波の分散ゆあ空間閉じ込めの制御が可能となれば、関連する諸現象、特に光散乱や光弾性効果などの増強・制御が可能となりと期待できる。本研究では、弾性波の伝搬特性が制御された人工材料を構築し、その音響工学デバイスへの応用を目指す。具体的には、弾性率の異なる材料の周期構造で構成されたフォノニック結晶構造を利用して弾性波の低群速度状態や局在状態を実現し、位相変調器や偏向器などとして広く利用されている音響光学素子の性能向上を目指している。 21年度には、理想的一次元フォノニック結晶(音波の進行方向と垂直方向のサイズは無限に大きい)を用いることで、一様材料に比べて、高い音響光学性能指数を実現できることを理論的にしめすとともに、その作製法を提案した。一方、実際の素子では、素子サイズの有限性を考慮した解析・設計が不可欠である。音響光学素子として用いようとする場合には、十分な光の回折効率を得るために、音波の波長に比べて大きな断面積を有する素子を作製する必要がある。この場合の一次元フォノニック結晶は弾性波のマルチモード導波路になるため、結晶内での歪および屈折率は複雑な分布を示し、音響光学素子としては好ましくない。 今年度は、有限要素法を用いた数値解析によりこの問題を検討し、有限の断面積を持つ場合の一次元フォノニック結晶のバンド特性の解析と、弾性波モード分布の解析を行った。その結果、空間的に変調された弾性波励起源を用いることで理想系における歪および屈折率分布に近い空間分布を実現することができることを示すことができた。また、この励起方式を用いることにより、有限系においても低群速度領域で音響光学効果の明瞭な増強が生じることを示した。現在、これらの成果をまとめた学術論文の準備を進めている。
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