研究概要 |
1)Microcystis莢膜の成分分析と凝集阻害能 アオコが発生している浄水場原水から採取したMicrocystis群体より莢膜を分離・濃縮し,その化学成分と凝集阻害能を評価した。乾燥重量比で主に糖質(57%),タンパク質(13%),金属類(8.6%),脂質(4.9%)から構成されていた。このうち酸性糖であるウロン酸は8.7%含まれていた。莢膜試料中の主要金属濃度を測定した結果,特にAl及びZnが高濃度で莢膜中に濃縮されていることが明らかとなった。凝集処理試験では,莢膜保有細胞がポリ塩化アルミニウム(PAC)を消費し,凝集効率を低下させた。しかしながら,莢膜を細胞から分離して同様の凝集試験に供した場合,莢膜低濃度(3.6mg-C/L以下)では凝集を促進し,高濃度(3.6mg-C/L以上)では阻害する特性を有することが明らかとなった。 2)レクチン添加培地によるMicrocystisの群体形成 種々の糖を架橋する性質を持つタンパク質であるレクチンを培地中に添加してM.aeruginosaを培養すると,M.aeruginosaが群体を形成することを発見した。添加レクチンの種類,添加濃度,培養時期を変化させて,培養液中の全糖量,ウロン酸量の単位TOCに対する割合と,レクチン非添加培地との比較を行ったところ,レクチン添加培地の方が全糖,ウロン酸量の割合がレクチン非添加培地のそれらを上回ったことから,レクチンはM.aeruginosaの活性に幅広い影響を与えていることが示唆された。
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