研究課題/領域番号 |
21656142
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西出 和彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80143379)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2009年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 建築計画 / 長距離通学 / 追跡調査 / GPS / 少子化 / 学校統廃合 / 放課後 / 小規模校 / 都市計画・建築計画 |
研究概要 |
本研究は、宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町で行った調査をもとに、長距離通学の小学校における放課後の活動の展開を考察するものである。当地には1学年1学級の比較的小規模な小学校が4校設置され、全230名の児童のうち約2割がバスや自家用車を利用する長距離通学を行っている。さらに、平成20年度からは隔週で合同の授業を行っており、多人数化による正課活動の充実を図る学校運営が特徴として挙げられる。定期的にではあるものの町内全域から1つの小学校へ児童が集まることから、擬似的な学校統合および長距離通学に相当する影響があることが想定され、さらなる長距離通学の影響を推察する格好の事例となっている。 調査は全児童を対象とした登下校の概要および一週間の活動予定に関する記述式調査と、小型GPS端末による30名の行動追跡調査の2段階で行った。その結果、通学手段に関わらず、小学校ごとに行われている放課後子ども教室・スポーツ少年団に約7割、町内全域の活動に約1割の時間が割かれていることが明らかになった。児童同士はすでに顔見知りとなっており、小学校の合同授業に倣い放課後でも一体的な集団を形成して、活動の充実を図ることは容易であると予想したが、そうした集団の形成は少数のスポーツ少年団に限られるものであった。また、放課後子ども教室・スポーツ少年団とは別に校舎に残る児童も多く、学校生活の延長で放課後も小学校ですごす傾向が示された。 つまり、集団形成への意識は薄く、小学校を核とした習慣的な行動が支配的であると考えられ、擬似的な長距離通学の影響は極めて限定的である。他方で、こうした行動の特性は、統廃合や学校選択制で問題視される「子どもと地域との断絶」とは対極に位置し、合同授業により小規模校の制約を緩和しつつ、放課後の活動の場を提供する点は、将来の少子化に向けたモデルとして活用できるものと期待される。
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