研究課題/領域番号 |
21656183
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武藤 泉 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20400278)
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研究分担者 |
原 信義 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40111257)
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222503)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2009年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 蛍光分析 / すき間腐食 / 塩化物イオン濃度 / ステンレス鋼 / 窒素添加鋼 |
研究概要 |
本研究において新規に開発した蛍光イメージングプレートを用い、ステンレス鋼のすき間腐食発生過程における水素イオン濃度(pH)と塩化物イオン濃度の面分布をリアルタイム可視化分析した。試験片には、マンガンを添加したオーステナイト系ステンレス鋼(Fe-18Cr-10Ni-5.4Mn)を使用した。試験液としては、希硫酸でpHを3.0に調整した0.01M NaCl(298K)を用い、Ag/AgCl(3.33M KCl)電極基準で0.3Vに定電位分極を行った。イメージングプレートの外観を100秒ごとに光学顕微鏡で撮影し、その色調(RGB値)からpHおよび塩化物イオン濃度への換算を行った。定電位分極開始と共に、電流値は低下し、3000秒程経過した後に、すき間腐食の発生により徐々に増加することが分かった。水素イオン濃度(pH)は、最初の500秒程は変化が見られないが、その後徐々に低下し、pH2を下回ったところ(約1.8)でエッチピットが発生することが分かった。そして、このエッチピットの発生により、その周囲のpHが0.5程度まで直ちに低下し、すき間腐食がマクロ的に広がって行くことが解明された。一方、塩化物イオン濃度に関しては、すき間腐食が発生する前に顕著な濃度上昇は見られなかった。これは、Cl^-イオンがステンレス鋼から溶出したCr^<3+>イオンと錯イオンCrCl^<2+>を形成し、Cl^-イオンとしては高い濃度に到達しないためであると推察される。しかし、塩化物イオンを含まないpH3.0のNa_2SO_4を用いた場合には、すき間腐食は発生しなかったため、すき間腐食を引き起こすエッチピットの発生には0.O1M程度の塩化物イオン濃度の存在は不可欠であると推定される。また、同様の実験を窒素添加オーステナイト系ステンレス鋼(Fe-18Cr-10Ni-5.4Mn-0.28N)に対して実施した。その結果、すき間腐食の発生過程であるエッチピットは発生するものの、すき間腐食へ成長しないケースが多く見られた。窒素はすき間腐食発生過程であるエッチピットを再不働態化させる作用があるものと考えられる。
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