研究概要 |
本研究は,これまで森林や畑に捨てられる(枝打ち材,葉,もみがら,稲わら等)または産業廃棄物として処理される(剪定材,食物植物の粕等)未利用バイオマス資源を高密度の耐水性を有する固形体に加工し,石炭に替わる十分な発熱量を有する低環境負荷燃料の成形技術の確立を目的としている 本年度は,固形化に適した塑性加工法による成形を試み,成形の可能性と問題点および得られた固形体の燃料特性を検討した.連続的な加工法の開発として,まず,射出成形の利点を考慮して木材の含水率の調整が可能な加熱部と固形化部を分離させた加工装置を試作した.各種のバイオマスにおいて射出成形の可能性が確かめられ、耐水性を有した密度約1.2g/cm3以上の高密度の固形体が得られた.また,燃焼試験の結果,いずれのバイオマスにおいてもその固形体は有炎燃焼の後に無煙燃焼を示し、単位体積当たりの発熱量は、3800~7400cal/cm3であり,この発熱量の値は木材の2~4倍,石炭の40~80%に達することが確かめられた 連続成形の可能性を検討するために加熱・射出金型,固形金型,冷却金型を組み合わせた装置を試作した.この装置では,水分量を調節したバイオマスが加熱・射出金型内で加熱された後に,固形金型にノズルから少量ずつ射出されて逐次固形化され,その後冷却金型を通過して装置から排出される.適切な加工条件(バイオマスの水分量および成形温度、成形圧力)において,連続した固形体(長尺の丸棒)が得られることが確認された.なお,この連続成形で作製した固形体の密度,発熱量および耐水性は上述の値と同様であることも確認された
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