研究概要 |
宇宙空間の軌道上で実現可能な最小単位の宇宙農場=「マイクロ宇宙農場」を世界に先駆けて検討し、農作物の「稔りモデル」を構築、必要となる無(低)重力の地上模擬実験を行うことで、将来の宇宙実験に備える。本研究では、より早期に実現可能な、宇宙空間に孤立して浮かぶコロニー型「マイクロ宇宙農場」を想定し、最小単位のマイクロ宇宙農場を実現するため、作成中のクリノスタットの運転時間を週単位で稼働できるように調整し、数週間に及ぶ微少重力下でのマメ科作物の栽培試験を行い、標準重力下での栽培状況と比較し、マイクロ宇宙農場での作物栽培の可能性を検証する。 H22年度は、野生型ダイズWilliams82及びNODI-3,コムギ(アヤヒカリ)を用い、播種3日後,ガラス室内のクリノスタット育成容器内,および対照実験用としてクリノスタット育成容器外にて生育させ、2日間クリノスタットを運転させ疑似微少重力環境に置き、根の伸長を比較計測した。その結果、疑似微小重力下では根の伸長が促進されることが分かった。特に、ダイズでその傾向が強かった。そこで、ダイズのみを用い、それらを長期間(7日)微少重力下に置き、根等の生育に与える効果を調べた。その結果、クリノスタットによる疑似微小重力環境は植物の地上部と根部の伸長を促進することが確認できた。一方、根部,地上部の重量測定を行った結果,共に減少する傾向が見られた。以上により、模擬微小重力下では、植物体は伸長が促進され、一方、重量が減少する傾向が分かり、伸長に関連する細胞形態,あるいは細胞数が変化している可能性が推定された。そこで、同様な実験を行った後.各根の組織切片を作り、細胞のサイズを測定した。その結果、細胞の縦方向の長さが対照区より長い傾向が見られたが、これに関してはさらなる検証が必要である。これらに関しては2011年8月に開催される日本土壌肥料学会つくば大会で発表する。
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