研究課題
挑戦的萌芽研究
酸化型グアニン(8-オキソグアニン)の修復機構に関与する酵素の遺伝子であるOgg1,Mth1,Mutyhの3つの遺伝子を欠損したトリプルノックアウトマウスを作成し解析していたところ家系内でのがんの発生率が上昇し、さらに様々な先天性の変異表現型(無/小眼球症、体毛色変異、水頭症など)を有する個体が高頻度に発生することを見いだした。このことからこのマウス家系では体細胞だけでなく生殖細胞中でも高頻度に(epi)genetic mutationが生じていることが推測された。遺伝形式を交配実験により解析したところ、水頭症は常染色体優性遺伝形式(浸透率約50%)、体毛色変異は常染色体優性形式(浸透率はほぼ100%)であったことから少なくとも二つの変異表現型はゲノム変異に起因することが予測された。それぞれの変異表現型の原因遺伝子を同定することを目的とし、変異マウスの形態学的、解剖学的、病理学的解析を行い、その結果に基づき原因遺伝子の候補をデーターベースより検率した。トリプルノックアウトマウス家系内の全マウス(60匹)、野生型との交配により得られたトリプルヘテロマウス(70匹)および野生型(60匹)の尾組織からゲノムDNAを抽出し個々のマウスにおけるゲノム変異解析を行ったところ、トリプルノックアウトマウスの数個体で散発的に突然変異が検出されたことから、酸化損傷塩基の蓄積に起因して突然変異頻度が上昇していることがわかった。また、Ogg1およびMth1遺伝子欠損マウスの精巣を用いた細胞遺伝学的解析により、8-オキソグアニンが蓄積した精母細胞ではDNA鎖切断が生じ、その結果減数分裂期の細胞において相同染色体組換え頻度を上昇させることがわかった(当該年度の学会で成果を発表した)。
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福岡医学雑誌
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Nucleic Acids Research
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