研究課題
挑戦的萌芽研究
真核細胞では、タンパク質をコードしていない様々な非コードRNAが存在することが示されている。また、多くの非コードRNAが遺伝情報発現に関わる機能性RNAではないかと予想されている。オーキシンによる細胞分化、パターン形成に異常があり、野生型には見られない非コードRNAなどのRNAが蓄積している変異体xを同定した。この変異体を用いて新規転写産物を同定し、オーキシンによる細胞分化・器官形成制御における役割を明らかにすること、原因遺伝子Xの機能を明らかにすることを目的とし、研究を進めている。野生型と変異体xの転写産物を比較解析したところ、x変異体では、野生型にはほとんど見られないRNAが異常に蓄積していることがわかった。極端にRNA量の増加を示したもののほとんどが、タンパク質をコードしていない領域(非タンパク質コード領域)だった。この中には、遺伝子間領域にコードされたポリシストロニックsnoRNAを含む領域、トランスポゾンが並ぶ領域などが含まれていた。野生型では、レトロトランスポゾンは、DNAのメチル化等によりエピジェネティックに発現が抑制されている。野生型で発現が抑制されていることが確認されているレトロトランスポゾンの発現をRT-PCRにより解析した。x変異体では、レトロトランスポゾンRNAの異常な蓄積が観察された。これらは、変異体xでは、エピジェネティックな遺伝子の発現抑制制御が異常になっていることを示唆している。以上の解析から、オーキシンによる細胞分化やパターン形成に重要な役割を持つ新規遺伝子Xが、エピジェネティックな遺伝子発現制御に関わることが示唆された。
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Plant Signaling & Behavior
巻: VOL.5 ページ: 1249-1251
Plant Cell VOL. 21
ページ: 3133-3151
http://www.bot.kyoto-u.ac.jp/j/5_iden.html
http://www.bot.kyoto-u.ac.jp/annual/5_iden.html