研究課題/領域番号 |
21657040
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
由井 宏治 東京理科大学, 東京理科大学理学部, 准教授 (20313017)
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研究分担者 |
鳥越 秀峰 東京理科大学, 理学部, 准教授 (80227678)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 顕微鏡 / 張力 / 光圧 / 表面変位 / がん細胞 / 繊維芽細胞 / 酵母細胞 / ヘテロダイン / レーザー / 生体膜 / 酵母 / 核膜 / 非接触 |
研究概要 |
平成22年度は、顕微レーザー誘起光圧表面変位顕微装置を完成し、酵母細胞、とくに核膜へ適用することを目的とした。 顕微レーザー誘起光圧変位顕微装置に関しては、励起方法、検出方法を最適化し、特に検出方法にこれまでのロックインアンプによる検出方式から、ヘテロダイン干渉とフーリエ解析方式を採用したこと、また検出器前を通常のカラーフィルターからエッジフィルターに変更することで高感度化に成功し、顕微鏡下で目的の細胞を見ながら、細胞の目的部位における張力を計測することに成功した。 実際に細胞を計測できているか、確認するために、がん細胞であり、自身の細胞骨格を充分に発達する余裕のないまま分裂を繰り返すがん細胞と、体内で比較的弾性力の高い組織を形成する際に活躍する、内部に細胞骨格が発達した繊維芽細胞で、本装置で張力差が非接触で計ることができるのか検討した。具体的には前者にはHeLa細胞、後者には3T3 Swiss Albino細胞を用いて計測した。 その結果、前者は6.5±4.4μN/m、後者は83±25μN/mという測定結果を得ることができた。これらの細胞の張力の測定例はなく、接触法で計った過去の測定例における赤血球細胞の張力は6.6μN/mであり、細胞内骨格が発達した繊維芽細胞では細胞構造全体としての張力が約10倍高いことを明らかにした。 以上、H22年度は、装置の測定精度を高め、細胞種による張力の違いが測定できるようになった。顕微鏡下で目的の細胞の特定の部位を狙って、かつ非接触で測定できる手法は世界的に見てもまだ本法しかなく、細胞の力学応答の研究にとって画期的なツールの開発に成功したと考えられる。今後は、非接触であることの利点を活かして酵母細胞とそのオルガネラ(特に細胞周期による核膜の張力変化)、娘細胞と母細胞の張力の違いなどへ測定を拡張していく予定である。
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