研究概要 |
農産物の安全・安心確保の観点から、養液栽培の重要度が増している。養液栽培はコストを削減することが課題であり水中放電による殺菌と窒素供給効果によコスト養液再生方法の開発を試みた。 (1)昨年度は、コンデンサのみを用いた針-平板型リアク多により、菌の不活性化と窒素の溶解効果を検討したが、投与した電気エネルギーが発熱など殺菌に寄与するラジカル生成に必ずしも利用されないことがわかり、今年度は磁気パルス圧縮回路による針-針型リアクタに改良した。この装置を用いて、t.viride, S.cerevisiae, B.subtilis, E.coliについて印加電圧の効果を確認した。その結果t.viride, S.cerevisiae, E.coliは、投与エネルギーに応じて顕著な殺菌効果がみられた。 栽培槽と溶液槽をポンプで連結した栽培システムを構築するための実験として、有機染料による脱色実験(300mlの模擬廃水を20m1/minで循環)を行った。溶液槽(放電槽)では時間遅れがあるものの栽培槽では、バッチ系とほぼ同じ速度で脱色率100%磯に到達した。流れ系での殺菌実験でもバッチ実験とほぼ同じ結果が得られ、流れ系での利用が可能であることがわかった。 (2)流れ系でのコマツナ栽培では、常時湛水されるため根腐れ等の危険があるため、溶液槽を2日に一度放電する断続放電栽培実験(人工土+鶏糞炭の培土)を曝気放電無し、曝気のみの条件と比較して行った。1回の水中放電は0.5L/minで空気30分、酸素10分とした。その結果、無処理区<曝気のみ<放電の順で乾燥重量が増加し、成長が促進した。一般細菌数は放電前で無処理区よりも2桁程度低く、放電処理後は4桁程度低くなり、断続放電条件でも放電により栽培中は、一般細菌数が低く維持されることがわかった。溶液のpHは、放電条件でもpH5程度に維持され、鶏糞炭により中和が期待できることがわかった。
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