研究課題/領域番号 |
21659007
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
|
研究分担者 |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40273437)
|
研究期間 (年度) |
2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2009年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
|
キーワード | 遺伝子発現 / 肝臓 / 転写因子 / 非ウイルスベクター / 物理刺激 |
研究概要 |
治療タンパク質を"必要に応じて繰り返し"発現させる「オンデマンド型遺伝子治療システム」の実現を目的に、遺伝子発現再活性化のためのシグナル探索ならびに機構解明を試みた。まず、肝臓で速やかに不活化されるCMVプロモータを含むプラスミドを採用し、肝臓に種々の刺激を加えたときの遺伝子発現変動を解析することで、遺伝子発現を再活性化する刺激の探索を行った。その結果、大容量の等張溶液を血管内に急速に投与するハイドロダイナミクス(HD)法に準じた投与に加えて、肝臓の圧迫、電気パルスなど、肝臓への遺伝子導入方法として有用であることが報告されている方法が、遺伝子発現を再活性化しうることを見出した。以前の検討において、HD法による再活性化には、肝臓でのNF-kappaBやAP-1の活性化が関与することが示されていたことから、これら転写因子を活性化することが知られる肝臓虚血・再灌流(I/R)の遺伝子発現再活性化に及ぼす影響について検討したところ、このI/Rによっても肝臓での遺伝子発現は大きく再活性化することが明らかとなった。そこで、これらの刺激による再活性化メカニズムについて解析を行った。HD法で投与したマウス肝臓は、一時的に容積が2倍以上にもなることから、細胞骨格が変化することが推察された。そこで、形態的な変化について、電子顕微鏡画像で評価したところ、HD法で溶液を投与したマウス肝臓では、肝細胞間の間隙が拡大し、細胞の形状も変化していることが示された。そこで、F-アクチンに特異的に結合するphalloidinを用いて細胞の形態変化に重要なF-アクチンの細胞内分布を評価した結果、HD法で等張溶液を投与したマウスではF-アクチンの一時的な脱重合が観察された。しかしながら、培養細胞を用いた検討では、低張溶液での培養による細胞容積の増大時に遺伝子発現の再活性化現象は一部細胞でしか認められなかった。以上より、HD法による遺伝子導入や再活性化時には細胞が形態学的に変化するものの、この変化は再活性化現象とは直接的には関与しないことが示唆された。
|